2024年はほとんどの大陸で記録上最も暑い年で上昇値1.5度以上の節目を迎えたとEUの報告書で判明

EUのコペルニクス気候変動サービス(C3S)は2025年1月に、2024年の気候に関する世界中の分析レポートを発表しました。レポートでは、オーストラリア大陸および南極大陸以外のすべての地域で2024年が記録上最も暑い年となり、産業革命前の水準と比べて平均気温が「1.5度」高い初めての年となったことが報告されています。
Global Climate Highlights 2024 | Copernicus
https://climate.copernicus.eu/global-climate-highlights-2024

Global temperatures passed critical 1.5°C milestone for the first time in 2024 – new report
https://theconversation.com/global-temperatures-passed-critical-1-5-c-milestone-for-the-first-time-in-2024-new-report-246821
以下は、「『世界の年間平均気温』と『1850年~1900年の第二次産業革命時の気温』の差」の推移を示したグラフです。グラフを見ると、2010年に初めて上昇値が1度を超え、2014年以降は毎年1度を超える状態が続き、2024年には+1.5度を記録したことがわかります。

また以下は、2024年の年間平均地表気温が1991年~2020年の平均をどれくらい上回ったか地域別に示した図。濃い赤ほど上昇値が高くなっています。図によると、特に北アメリカの東部やヨーロッパ、日本に近い太平洋エリアが深刻な上昇値に見舞われています。

「産業革命前から+1.5度」という基準は、2015年に採択されたパリ協定に基づくものです。パリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「+2度未満」に抑えること、「+1.5度未満」を目指して温暖化を防ぐため努力を追求することが定められました。1.5度と2度の根拠としては、「1.5度上昇するとサンゴ礁の70~90%、2度上昇すると99%が失われる」「1.5度上昇すると海面が0.1m高くなり、最大1000万人が洪水の被害を受ける可能性が高まる」といった事項が考慮されています。
ただし、パリ協定で定められているのは20年の平均を計算する「長期平均」です。天候は年ごとに変動するため、1年間の平均で1.5度を超えただけではパリ協定の基準を超えたことにはならず、長期平均は2024年を含めても「+1.3度」程度。2024年は強力なエルニーニョ現象により海水温の上昇を引き起こして地球全体の気象パターンに影響が出たと見られており、必ずしも地球温暖化が深刻に進行したとは限りません。
一方で、オックスフォード大学で大気物理学を専門に研究するマシュー・ライト氏によると、パリ協定などの政府立案の基準はあくまで基準であり、科学的観点から見ると恣意的な目標に固執過ぎないことが重要であるとのこと。実際、0.1度程度の温度上昇でもグリーンランドの氷床が解けて海面上昇に強い影響を与えるという研究があったり、2024年は猛暑による熱波を原因としてヨーロッパで山火事が発生したり、湿度の上昇を原因としてスペインで壊滅的な洪水が多くの地域で発生したりと、大規模な災害につながっています。
世界気象機関(WMO)は、2024年12月から2025年2月にかけてラニーニャ現象が発生するとしつつも、その影響は比較的弱く短期間で終わると予測しています。そのため、2024年と比べて2025年はそれほど暑くならない可能性もありますが、初めてパリ協定の基準値を超えたという事実を受け止め、気候変動に改めて目を向けるべきだとライト氏は語りました。
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in サイエンス, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article 2024 will be the hottest year on record ….