メモ

「スパム扱いされない営業メール」の書き方を総額760億円以上の営業を請け負ってきたスタートアップの創業者が伝授


インターネットを飛び交う営利目的のメールの中には、「主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました」との書き出しから始まる珍妙なスパムメールもあれば、しっかりと潜在的な顧客にリーチするビジネスメールもあります。アポなしの営業である「コールドアウトバウンド」を代行する企業・Auroraを立ち上げてから1年で年間収益100万ドル(1億5000万円)を達成し、2024年だけでクライアントに合計で5億ドル(約760億円)規模のパイプライン(見込み客)を呼び込んできたというマット・レドラー氏が、ビジネス成功のカギとなったコールドメールの書き方をまとめました。

The Cold Email Handbook | za-zu
https://www.za-zu.com/blog/playbook

レドラー氏によると、事前連絡なしで送る営業メールである「コールドメール」が効果的なのは、落ち着いた連絡手段だからとのこと。


インターネットの多くの場所は、詐欺のような広告や怒りをあおるコンテンツであふれています。メールにもスパムやフィッシングなどはありますが、ひどい有様のウェブ広告に比べれば相対的にましであるため、そこに勝機があります。

「この親密さこそが、コールドアウトバウンドを強力なチャネルにしています。大抵の広告はどこかにスペースを間借りしますが、コールドメールはセールスしたい相手の受信箱に直接届きます。そして、興味をそそられるコールドメールを見た人は、クリックしてからウェブサイトにアクセスしてデモの予約をしなくてはならないウェブ広告とは違って、ただ返信するだけでいいのです」とレドラー氏は述べています。

そして、コールドメールでの営業を成功させるこつは、大きく分けて2つあるとのこと。


◆1:インフラストラクチャの整備
レドラー氏が言うインフラ整備とは、平たく言うと関連性の高い複数のドメインを用意してから、それらのドメインを最適化して、コールドメールを送る環境を整えることです。

実は、コールドメールのインフラはメール本文よりも重要とのことで、「平凡なメールと優れたインフラで成功にこぎつけることはあっても、優れたメールと機能不全のインフラが成功を収めることはありません」とレドラー氏は断言しています。

・隣接ドメインの購入
インフラ整備の最初のステップは、関連性の高いドメイン、つまり「隣接ドメイン」をいくつか用意することです。例えば、レドラー氏の会社であるAuroraのドメインは「helloaurora.com」で、隣接ドメインは「auroraemails.com」「yesaurora.com」「withaurora.com」「getaurora.com」など、すべて「aurora」の文字が入ったドメインです。

ここで注意したいのが、無関係なドメインを手当たり次第そろえてはならないという点です。ドメインは相手の目に直接触れるため、例えば本命ドメイン「gardeningtools.com」に対する「floridapanthershockey.com」のように、社名やサービス名とかすりもしていないドメインは買ってはいけないとのこと。


ドメインをいくつ買うべきなのかは、「隣接ドメイン=(送信予定数÷60)×1.1」の式で求められます。例えば、1日に6000通のコールドメールを送るつもりであれば、購入するドメイン数は110個となります。

「60」の意味は、一般的な人間の営業担当者が1日に送れるメールの送信数である20通に3をかけた数字で、「1.1」は余裕を持たせるためのマージンです。

Gmailなどの電子メールサービスプロバイダー(ESP)は、メールの送信量の基準を「人間並み」に設定しており、これを超えるとスパムとみなして、ドメイン全体にペナルティを科します。そのため、Auroraではドメインごとに送受信トレイを3つ用意し、各トレイから1日20通のコールドメールを送信するようにしているとのこと。

隣接ドメインを十分な数だけ購入したら、それらを本命ドメインの「helloaurora.com」にリダイレクトして、メールを見た人がドメインをブラウザのURL欄に貼り付けるだけで公式サイトにアクセスできるようにしておきます。


・ドメイン最適化
次のステップは、アウトバウンドが受信トレイの実際に読まれる部分に届くように最適化するためのもので、具体的にはSPFDMARCDKIMなどを設定してGmailのようなESPから見た信頼性を高める作業です。

まず、設定する際の選択肢は、主にGoogleのGmail、MicrosoftのOutlook、そして独自メールサーバーを立てるプライベートIPの3つがありますが、実際にはGoogleかMicrosoftの2択で、必要に応じてGmailとOutlookを組み合わせることはあっても、プライベートIPは推奨しないとのこと。なぜなら、プライベートIPはよく詐欺で使われるので、一般的なESP以外のものを使うのは悪手だからです。

また、送受信トレイを設定する際のこつは、VPNを使ったり、AdspowerWaveboxなどのアンチ検出ブラウザを使ったりして、多人数で作業しているようにみせかけることです。Googleは個人が多数のメールアカウントを管理するような状況を好まないため、1人でいくつものアカウントを設定するといちいち電話番号認証やテキストメッセージ認証を求められるようになってしまうのがその理由です。


加えて、メールの受信者は末端の営業担当者から連絡を受けるより、創業者や営業部門の責任者などの名前に反応しやすいため、送受信トレイにはなるべく上位の人の名前を使うといいとのこと。また、アカウントのプロフィール写真をつけるのは必須なのだそうです。

・メールボックスのウォーミングアップ
ウォーミングアップとは、ESPからまっとうな送信者であると信頼されるような行動を取ることです。具体的には、いきなり大量のコールドメールを送信し始めたり、似たような内容のテンプレートメッセージを送ったり、開封率や返信率、つまりエンゲージメント率が低いメールを送ったりしないことです。

ウォーミングアップには、専用のウォーミングアップツールが使われます。Auroraの姉妹企業・Za-zuが提供しているウォーミングアップツールでは、3~4週間かけて、徐々に1日に送るメールの数を20通まで増やすようにしているとのこと。これは、「会社に入社した新入社員が送るメールは初日より3日目、3日目より1週間目の方が多い」ということを想定したものです。

送信したメールのエンゲージメント率の維持も重要で、コールドメールの手応えが順調なら問題ありませんが、開封率や返信率が低い場合は実際にコールドメールの送信を始めた後もウォーミングアップを継続することがあります。


◆2:メール本文を書く
メール本文は、誰に送るのかを決めて、特定の相手に効果的な文面を作るという2つのステップに分かれます。

・誰に送るのかを決める
この作業は、自分の製品やサービスが解消してくれる「苦痛」を感じているのは誰か、という質問に還元できます。これは「ペインスニッフィング」という手法で、製品が役に立つ人ではなく、実際に製品が解決する問題に直面している人を探すということです。

また、どのポジションの人に送るのかも考えておく必要があります。例えば、従業員数が50人に満たない比較的小規模な会社なら、意志決定者は創業者になるため、必然的に宛先も創業者になります。また、大きな企業ならなるべく上位の人、できれば社内の複数の人に送るべきです。

・効果的な文面を作る
あらゆる場合に使える万能のテンプレートはありませんが、レドラー氏によると優れたコールドメールの多くには以下の要素が含まれているとのこと。

・ パーソナライゼーション
・強力な主張
・その主張の証拠
・明確な次のステップ
・200語未満


特に重要なのがパーソナライズで、レドラー氏は「見知らぬ人からメールを受け取ったら、多くの人は心の中のスパムフィルターをオンにします。ですから、メールは個人的なものであり、何千人もの他人に送られるテンプレートではないということを示すものでなければ、即座にゴミ箱に入れられるか、スパムメールとしてマークされるでしょう」と述べました。

いかに文面が優れていても、開封されなければ意味がありません。そのため、件名も重要です。いい件名をつける上でレドラー氏が最初に考えるのは、社内メールに似た件名にすることです。これにより受信トレイの中で自然に見えます。

また、繰り返しになりますがプロフィール写真、できればメールの送信者の顔写真を設定しておくのも、大量のスパムメールを送る顔のない詐欺師と差を付けるための重要な一手となります。

レドラー氏は、こうしてできあがったコールドメールをA/Bテストでブラッシュアップしたり、AIを活用して臨機応変にパーソナライズしたりして、これまでに数百万通のメールを送って大規模なアウトバウンドを実施してきたとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
相手に本当に読んでもらったかどうかが簡単にわかって今すぐ反応も得られる「nocoセールス」を使ってみたよレビュー - GIGAZINE

製品開発を成功・拡大させるには「トップダウン型の営業」が必須、どのように取り入れるべきか? - GIGAZINE

テック企業Salesforceが営業マンに代わる営業AIを販売するため営業マン1000人を雇用 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article A startup founder who has handled sales ….