鳥が立ったまま眠れるのはなぜか?

鳥類はヒトと同じく二足歩行の生物ですが、鳥類には人間と異なり「安定した姿勢で立ったまま眠る」という能力が備わっています。フランス国立科学研究センターの研究チームが鳥類の身体構造を分析した結果、鳥類の体は「テンセグリティ構造」を形成しており、エネルギーを使うことなく安定した姿勢を保てることが明らかになりました。
An upright life, the postural stability of birds: a tensegrity system | Journal of The Royal Society Interface
https://royalsocietypublishing.org/doi/full/10.1098/rsif.2023.0433
Why birds do not fall while sleeping | CNRS News
https://news.cnrs.fr/articles/why-birds-do-not-fall-while-sleeping
鳥類とヒトは二足歩行の生物ですが、鳥類は屈曲した形で立ち、ヒトは真っすぐに立つという違いがあります。鳥類の立ち姿はヒトに例えると「つま先立ちで中腰の状態」という不安定でエネルギー負荷の高そうな姿勢ですが、鳥類は風雨の中で長時間立ち続けられるだけでなく、そのまま眠ることもできます。

研究チームは鳥類の身体構造を簡略化したモデルを用いて、安定した姿勢を維持できる理由を分析しました。その結果、鳥類の骨や筋肉やじん帯が「テンセグリティ構造」を形成していることが判明しました。テンセグリティ構造とは、「かたい材料」と「引っ張る材料」の組み合わせで形成される「一見不安定なものの安定した構造」のこと。テンセグリティ構造がどんなものなのかは、以下の動画が分かりやすいです。
【工作】これ、宙に浮いてるの!?【テンセグリティ構造の作り方】 How to make a tensegrity structure - YouTube

鳥類の身体構造をモデル化した図が以下。膝の裏を通る腱(けん)や膝周辺のじん帯などによってテンセグリティ構造が形成されています。テンセグリティ構造によって風や足元の揺れなどが発生した際にも体力を消耗せずに安定した姿勢を維持することが可能。また、思考不要で姿勢を維持できるため、立ったまま眠れるというわけです。

研究チームによると、鳥類のテンセグリティ構造はロボット工学に応用できる可能性があるとのことです。
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in サイエンス, 生き物, 動画, Posted by log1o_hf
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