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AppleがApple Watch Series 9とUltra 2の販売を中止、血中酸素センサーの特許紛争をめぐり


Appleが2023年9月に発売したApple Watch Ultra 2Apple Watch Series 9のアメリカでの販売を間もなく中止すると発表しました。これはApple Watchに搭載されている血中酸素センサーをめぐる特許紛争が原因です。

Apple halting Apple Watch Series 9 and Ultra 2 sales: Here's why - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2023/12/18/apple-halting-apple-watch-series-9-and-apple-watch-ultra-2-sales/


Apple halts US sales of Watch before Christmas after losing patent case
https://www.ft.com/content/52a15bec-8dc2-4a19-9749-8b353c53035c

Apple to pull Apple Watch Series 9 and Ultra 2 this week due to ITC ban - The Verge
https://www.theverge.com/2023/12/18/24006080/apple-watch-ban-series-9-ultra-2-itc-import

AppleはApple Watchに搭載されている血中酸素センサーが特許を侵害しているとして、医療機器メーカーのMasimoから訴訟を提起されています。この訴訟では、2023年10月にアメリカ国際貿易委員会(ITC)がMasimoの訴えを認め、Appleに対して「この機能を取り除かない限り、アメリカへの輸入を禁止する」との排除命令を下しました。

Apple Watchの血中酸素ウェルネス測定機能は医療機器メーカー「Masimo」の特許を侵害しているとの裁定をアメリカ国際貿易委員会が下す - GIGAZINE


ITCの判決を受け、本件はジョー・バイデン大統領による審査期間が設けられることとなっています。バイデン大統領は輸入禁止措置に対する拒否権を行使することもできますが、アメリカの大統領がこれまでに拒否権を行使した事例はほとんどありません。

AppleはITCの判決に従うための措置を「先制的に」講じるため、Apple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9の販売を中止すると発表しました。Apple公式のウェブストアは現地時間の2023年12月21日の15時から、アメリカの小売店舗では2023年12月24日から、対象となるApple Watchの販売を中止します。


AppleはITCの判決について、「Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売にのみ影響を与える」と述べています。これらのデバイスには血中酸素モニタリング機能が搭載されているためです。そのため、血中酸素センサーが搭載されていない下位モデルのApple Watch SEには影響はなく、同モデルは引き続き販売されることとなります。

なお、ITCの判決は「Appleが影響を受けるモデルを直接販売することを禁止する」というだけであるため、記事作成時点ではAmazonやBest Buyなどのサードパーティー販売店でApple Watch Series 9やApple Watch Ultra 2を販売することは問題ありません。

ただし、今回の判決により2023年12月25日以降はApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2のアメリカへの輸入が禁止されるため、Appleはこれらのデバイスを再販業者に販売することも禁止されます。そのため、バイデン大統領がITCの判決を支持した場合、他の小売店でもApple Watchの入手が困難になる可能性があります。


一方、既に販売中の血中酸素センサーを搭載したApple Watchは、今回の判決の影響を受けません。血中酸素センサーは2020年に登場したApple Watch Series 6で初めて搭載されたセンサーです。血中酸素センサーを搭載したApple Watchで血中酸素濃度を測定する方法は、以下の記事を読めばわかります。

「Apple Watch Series 6」で血中酸素濃度を測定できる「血中酸素ウェルネスアプリ」の使い方まとめ - GIGAZINE


Apple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9がいつまで販売中止となるのかは不明で、バイデン大統領がITCの判決を支持した場合、Appleは連邦巡回控訴裁判所に上訴することができます。Appleは9to5Macに対して、2023年12月26日に控訴する予定であると伝えました。ただし、Appleが控訴してもApple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9の輸入および販売禁止措置が解除されることはありません。

なお、Apple Watchが侵害しているとされているMasimoの特許は、2028年8月に期限切れとなります。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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