イスラエル軍は携帯電話のデータを収集してガザ地区の住民の動きを追跡し、避難呼びかけに応じた数がどれぐらいかリアルタイム評価している

ガザ地区を巡るイスラエルとパレスチナの争いは、双方合わせて4200人超が死亡。ガザ地区南部、エジプトとの境界にあるラファ検問所の近くではイスラエル軍による空爆で28人が死亡するなどしていますが、イスラエル側はガザ地区の民間人に対する被害を減らすために、携帯電話のデータを収集して住民の動きを追跡していることを明らかにしています。
Israel Prepares for Invasion by Using Phone Data to Track Gazans Fleeing - The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/10/16/world/middleeast/gaza-invasion-israel-cellphone-data.html

イスラエルからデータ追跡システムの閲覧を許可されたThe New York Timesが確認したところ、ガザ地区北部のうち一部はまだ画面上で白と赤に着色され、住民の多数が居住することを示していたものの、多くの場所はすでに多くの人が去ったことを示す緑色や黄色で表示されていたとのこと。ガザ地区南部へ避難した住民の数は最大で70万人に上り、北部に残るのは40万人ほどとみられています。
システムを担当するウディ・ベン・ムハ准将は「100%完璧なシステムではありませんが、意思決定に必要な情報は得られます」と述べ、ガザ地区北部を担当するイスラエル軍の将校は地図上で近隣地域が緑色になっていれば、戦闘中に民間人に危害を加える可能性が低下するため、作戦行動に対してより大きな余地を得られると語りました。
「もしあなたが旅団長で、追跡システムの色を見れば、その地域にどれだけの民間人がいるかがわかり、戦車や歩兵を使えるかどうかが分かります」とベン・ムハ准将は説明しています。
ガザ地区北部の中で裕福な地区だったリマルに対して10月10日に行われた空爆は、ハマスが地下に構築した軍事インフラを狙ったものでしたが、ベン・ムハ准将の監視室は攻撃に先立って周辺住民に電話をかけて退去を促し、地図上で人口の4分の1以下の人間しか残っていないことを確認してから空軍に連絡を入れたとのこと。ただ、この空爆でアラビア語ニュースサイト「Al-Khamsa News」のサイード・アル=タウィール氏ら少なくとも11人のジャーナリストが死亡しています。
アル=タウィール氏らの死を伝える記事には、大量出血があったことをうかがわせるプレス用のジャケットの写真が掲載されています。
At Least 11 Journalists Killed in Israel-Gaza War - The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/10/13/business/media/journalists-killed-gaza-israel-war.html

なお、ワシントンの研究機関・中東研究所でパレスチナやパレスチナ・イスラエル問題に取り組むハレド・エルギンディ氏はThe New York Timesに対して「多くの人々を根こそぎ排除することが人道的だとは思えません。ガザに安全な場所はありません。イスラエル軍がガザで人道的な行動をしているだとか、人命を尊重しているといった考え方はオーウェル的です」と述べています。
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in メモ, Posted by logc_nt
You can read the machine translated English article The Israeli military collects cell phone….