M1搭載&Liquid Retina XDRディスプレイで進化した12.9インチ「iPad Pro」レビュー

Appleが2021年4月21日に開催した配信イベントの中で、12.9インチ「iPad Pro」の新モデルが発表されました。この新型12.9インチiPad Proは、2020年11月にMac向けの独自開発プロセッサとして発表されたM1チップを搭載しており、さらにはAppleがMac向けのプロ用ディスプレイとしてリリースしたPro Display XDRと同等の「Liquid Retina XDRディスプレイ」を採用しているというのが特徴です。そんな12.9インチiPad ProがようやくGIGAZINE編集部に届いたので、実際にどんな仕上がりになっているのか使って確かめてみました。
iPad Pro - Apple(日本)
https://www.apple.com/jp/ipad-pro/
◆フォトレビュー
iPad Proが入っているパッケージはこんな感じ。

フタを開けると中には箱いっぱいにiPad Proが入っており……

その下にはスタートガイド。

さらにその下に充電用の電源アダプタとUSB-Cケーブルが入っています。

12.9インチiPad Proの本体サイズは縦280.6mm×幅214.9mm×薄さ6.4mmで、今回入手したWi-Fiモデルは重量682gです。

ベゼルは四方すべて同じ幅で、ディスプレイ上部のベゼル部分にインカメラの「TrueDepthカメラ」が配置されています。

背面はこんな感じ。

左上にiPhone 12シリーズと同じスクエア型のデュアルカメラユニット。

中央にはAppleのロゴ。

下部には「iPad」の文字と、専用アクセサリーとの接続に使用するSmart Connectorがあります。

天面には2つのスピーカーがあり、この間にある小さな点がマイクロフォンです。

底面にも2つのスピーカーが配されており、中央には充電・同期用のThunderbolt/USB 4ポートがあります。

左側面には音量調節ボタンと第2世代Apple Pencilを充電するための磁気コネクタがあります。

右側面は中央にマイクロフォンがあるのみ。

電源をつけるとこんな感じ。12.9インチのLiquid Retina XDRディスプレイは、iPadシリーズとしては初のミニLEDディスプレイを採用しており、解像度は2732×2048ピクセルで画素密度は264ppi。画素密度は11インチのiPad Proと変わりありませんが、他のiPadが液晶ディスプレイを採用しているのに対して、12.9インチiPad ProはミニLEDディスプレイを採用しているため、有機ELディスプレイ(OLED)レベルの高いコントラストを実現しながら、液晶レベルのコストパフォーマンスと寿命の長さを実現しています。

なお、Appleの公式サイトによると11インチiPad Proと12.9インチiPad Proのスペックの違いは「本体サイズ」「ディスプレイサイズ」「Liquid Retina XDRディスプレイを採用しているか否か」「バッテリー容量」の3点のみ。
◆ベンチマークテスト
12.9インチiPad Proに搭載されているM1チップのパフォーマンスがどの程度なのかを調べるべく、ベンチマークアプリの「Geekbench 5」を使ってみました。なお、CPUの動作周波数は3.20GHz、コア数は8、OSはiOS 14.6です。
CPUのシングルコアスコアが「1712」、マルチコアスコアが「7258」。

シングルコアスコアはiPhone 12 Pro Maxを上回り、iPhoneおよびiPadの中では最も高いスコアをたたき出しています。

マルチコアスコアはさらにほかの端末を上回っており、2020年3月に発売された第2世代11インチiPad Proを2600以上高く、スコアで頭1つ以上飛びぬけています。

さらに、Metalスコアは「21623」となっており、他のApple端末よりも2倍ほど高い数値。

2021年モデルの11インチiPad Proは同じM1チップを搭載しているため、ベンチマーク結果はほぼ同等でした。
ただし、プライベートで2016年に発売された10.5インチiPad Proを使用している編集部員は、iPad Proで「原神」をプレイしたり、「CLIP STUDIO PAINT」や「Procreate」といったアプリでお絵描きしながら「Netflix」や「Amazon Prime Video」をピクチャ・イン・ピクチャで同時再生しながら使っていても、パフォーマンスの低下やアプリが突然落ちるといった現象に遭遇したためしがないとのこと。そのため、正直なところM1チップを搭載するほどの高パフォーマンスをiPadユーザーが必要としているのかは疑問です。
また、iPad Proは専用のiPadOSで動作するためPCのような完全なマルチタスクを実行することはできません。画面上に同時に表示できるアプリの数は限られており、ピクチャ・イン・ピクチャで動画を再生しながら、2つのアプリを画面上に表示するというのが今の限界。海外メディアからは「M1チップのパフォーマンスを十分に発揮できるようなシチュエーションが存在しない」という指摘もあります。

12.9インチiPad Proは12万9800円からと非常に高額であり、マルチタスクに明確な制限が存在することを考えると、「iPad Proをコンピューターのように使いたい」と考えている人は、同じ価格帯でゲットできるM1搭載のMacBook Airを選んでも良さげです。
◆Liquid Retina XDRディスプレイ
Liquid Retina XDRディスプレイがいかにこれまでのディスプレイよりも優れているのかを体験すべく、従来よりも広いダイナミックレンジが特徴のHDRムービーを再生してみることに。HDRムービーは次世代の高画質技術として注目されており、Netflixなどのストリーミングサービスでも対応コンテンツの配信がスタートしています。
左が12.9インチiPad Proで、右が11インチiPad Pro。暗所で端末の輝度を最大にして再生したところ、画面上の黒色が明らかに異なることに気づきました。12.9インチiPad Proの黒色は真っ黒であるのに対して、11インチiPad Proの黒色は黒というよりは紺色に近い感じで、明らかにバックライトが点灯している感じ。HDRムービーを再生していると特に影や暗闇、夜空などが美しく描画される印象です。

12.9インチiPad Proのディスプレイ解像度は4K以下ですが、画素密度が264ppiと非常に高いため、画面のドットが荒いと感じることは一切なし。同等のディスプレイであるというPro Display XDRの価格が非常に高額(税込58万2780円~)であることを考えると、優れたディスプレイで映像コンテンツを楽しみたいという人には12.9インチiPad Proは最高の選択肢となりそう。ただし、11インチiPad Proも画素密度は同じで、十分きれいなディスプレイを持っています。

また、Netflixの場合はHDRムービーを再生するには最も高額な「プレミアム」プランに加入する必要があり、同時に25Mbps以上の安定したインターネット接続速度が必要になるなどの制約があります。そのため、すでにHDRコンテンツの視聴環境が整っている人や、映像コンテンツの視聴を重視している人以外は、「Liquid Retina XDRディスプレイを搭載していること」を理由に12.9インチiPad Proを選ぶ必要はなさそうです。
◆センターフレーム
12.9インチiPad Proでは、11インチiPad Proと同じようにインカメラでビデオ通話した際に被写体を自動で追尾して画面の中央に配置することができる「センターフレーム」機能も使えます。センターフレームを使うとどんな風になるのかは以下のムービーを見れば一発でわかります。
2021年発売のiPad Proに搭載された新機能「センターフレーム」を試してみた - YouTube

センターフレームは記事作成時点ではApple純正のビデオ通話アプリであるFaceTimeにしか対応していませんが、今後サードパーティー製のビデオ通話アプリにも対応予定で、すでにビデオ会議アプリのZoomがセンターフレームに対応しています。
なお、2021年モデルの12.9インチiPad Proは、税込12万9800円から購入可能です。
12.9インチiPad Pro Wi-Fi 128GB - シルバー - Apple(日本)
https://www.apple.com/jp/shop/buy-ipad/ipad-pro/
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