ウイスキー専門家は香りや味だけで高級なウイスキーを見抜けるのか?

ラテン語では「aqua vitae(命の水)」と呼ばれるウイスキーは世界中で愛飲されているアルコールで、お手頃に購入できるものもあれば高価なものもあります。そんなウイスキーについて、ウイスキー専門家が見た目・香り・味だけで、「どちらの値段が高いのか?」を判断していくというムービーがYouTubeに投稿されています。
Whiskey Expert Guesses Cheap vs Expensive Whiskey | Price Points | Epicurious - YouTube

登場したのはウイスキー専門家のヘザー・グリーンさん。

グリーンさんにはAとBのウイスキーを飲んでもらい、「A、Bどちらのウイスキーが高価なのか?」の格付けチェックに挑戦してもらいます。

ウイスキーはボトルから判断できないようにデカンタに移し替えて、グリーンさんの元に運ばれます。最初の問題はスコッチ・ウイスキーです。

運ばれてくるやいなや「ファンタスティック!」とテンション高めのグリーンさん。「デカンタ越しでは色の差はわかりませんね」とグリーンさんはコメントします。

スコッチ・ウイスキーは水・イースト・穀物の3つの原料からなるシンプルなウイスキーとのこと。

まずは見た目のチェックから。Aのスコッチは「いい感じのゴールドな見た目をしていますね」とコメントします。

次は香りのチェック。

香りについて「断言するけど、とても、とーっても素晴らしいウイスキーね」と語るグリーンさん。オレンジの花、軽いバニラの香りなどがするそうです。

グリーンさんによるとこのウイスキーは麦芽を100%使用しているのが特徴の「シングルモルトウイスキー」だそうですが、この場合の「シングル」は「単一蒸溜所で作られていること」を意味しているとグリーンさんは語ります。

次はBのウイスキーをチェック。

AとBのウイスキーで、見た目に差はありません。

ウイスキーの見た目に関して、「タルの材木や熟成年数が色合いに影響することもありますが、色はそれだけでは決まりません。安価なウイスキーは見た目の熟成感を出すために、カラメル色素を使用している場合もあります」とグリーンさんは語ってくれました。

グリーンさんはBの香りを嗅ぎますが……

嗅ぐやいなや、「これはブレンデッドウイスキーね」と断言。

その理由は、ほんのわずかにスモークやピートの香りがするため。ブレッデッドウイスキーは製造時、基本的に複数の蒸留所のシングルモルトスコッチを混ぜて作られますが、Bのウイスキーはそのうちの1つにスモークやピートの香りが少し残るウイスキーを使用したとグリーンさんは見抜きます。

いよいよ実際に飲むことに。

Aのウイスキーを飲んだ途端、「すばらしい」とグリーンさんは絶賛します。オレンジやバタースコッチのふくよかな香りだけでなく、強めのアルコールの主張ながらも飲みやすく、後に残る風味も素晴らしいそうです。

一方、Bを飲んだグリーンさんは、「あー…… これはちょっと違うわね」とテンションが低めに。

「Bの味わいは薄く、口の中に長く残りません。ディナーの前にウイスキーの味わいを長く感じたくない場合や、私みたいに朝食にウイスキーを飲む人にはオススメかもしれませんね」とのこと。

グリーンさんが高価だと思ったウイスキーは、A。

結果を見てみると、Aは1本750mlあたり165ドル(約1万8000円)、Bは37ドル(約4100円)でした。

正解して腕を大きく振って喜ぶグリーンさん

「Aは見事なシングルモルトウイスキーでしたが、Bはブレンデッドウイスキーでしたね」と評価を下していました。

次はライ麦を主原料とするライ・ウイスキーに挑戦。ライ・ウイスキーはワイルド・ターキーやジム・ビームなどが有名です。

グリーンさんの解説によると、アメリカのライ・ウイスキーの特徴は鼻の中に勢いよく流れ込むオーク樽の力強い香りが強烈に主張する点だとのこと。

まずは香りのチェックから。Aのライ・ウイスキーを嗅いだグリーンさんは「グッドニュースです、皆さん」とニッコリ。Aのライ・ウイスキーの香りは「複雑で芳醇(ほうじゅん)なハーブの香りで、素晴らしい香りです」と高評価。

次にグリーンさんはBのライ・ウイスキーをグラスに注いで、AとBのライ・ウイスキーの見た目を比較。AとBの見た目にも差があり、左手側のBのほうが強いカラメル色をしています。Bのライ・ウイスキーは「長く熟成したウイスキーの見た目をしていますね」とこちらも高評価です。

Bのライ・ウイスキーを嗅いだグリーンさんは、「ハーブやホワイトペッパーなどの香りを感じます。タルの中で熟成された香りのせいですね。Bの香りに比べると、Aのライ・ウイスキーはだいぶ熟成年数が若いのだと思います」と分析します。

グリーンさんは香りの総評として、「このライ・ウイスキーの香りは、どちらも同じくらい好きですね。Aは『これぞライ』という香りをしていますし、Bは豊かな香りをしています」とコメントします。

次は試飲タイムへ。グリーンさんはAのライ・ウイスキーを一口飲んで、「原料の穀類の味わいが良く残っていますね」と語ります。タルの香りが原料の味わいを損ねてしまうライ・ウイスキーもまま見られる中、Aのライ・ウイスキーはタルの風味と原料の味わいのバランスが取れているライ・ウイスキーになっているそうです。

次はBに。グリーンさんはBのライ・ウイスキーを飲む前に、Bの色合いをまたしても褒めます。グリーンさんによると、「暗い色合いは長く熟成したということを示しています。長く熟成した、ということは高級なライ・ウイスキーということです」とのことでした。

Bのライ・ウイスキーをゴクリと飲んだグリーンさんは、「かなり強い口当たりです。舌触りもよく、高級感があって、素晴らしいウイスキーですね」と絶賛します。

グリーンさんの選んだ答えはもちろんB。

値段を見ると、Aは750mlあたり40ドル(約4400円)ですが、Bはなんと400ドル(約4万4000円)と、価格は10倍も異なっていました。

グリーンさんは正解した喜びを表しながら、「値段を考えればAもいいわ、私には普段飲むならこっちで十分よ」とAのライ・ウイスキーも褒めていました。

次はアイリッシュ・ウイスキー。アイリッシュ・ウイスキーは香りが良く、軽くて飲みやすいウイスキーで、グリーンさんのお気に入りのウイスキーとのことです。

「アイリッシュ・ウイスキーは3回蒸留を行うものが多く、洗練された味と香りを楽しめます」とグリーンさんは話します。グリーンさんは、Aのアイリッシュ・ウイスキーをグラスに注いで、見た目のチェックから始めました。Aはきれいな金色で、そこまで熟成年数が経過していないようです。

Aの香りを嗅いだグリーンさんは、「芳醇なバニラの香りと、春らしいスズランの香りがします。2種類の木材のタルで熟成されているようです」とコメントします。

次はBへ。AもBも見た目の差はほとんどないそうですが、香りもあまり差はなく、「同じ蒸留所で作られた可能性があります」とのこと。しかし、Bの香りは「あまり香りが漂ってこない」とグリーンさんは語りました。

次は試飲タイムへ。Aのアイリッシュ・ウイスキーを飲んだグリーンさんは、「フローラルな香りとともに砂糖と蜂蜜が混ざったような味」と語り、Aのアイリッシュ・ウイスキーはかなり甘いようです。グリーンさんは味の表現に「神々の蜜(Nectar of the gods)」など、「天からもたらされた」という意味合いの表現を複数使用しており、かなりの高評価であることがうかがえます。

次はBを試飲します。グリーンさんは試飲の前に、「Aがおいしすぎたから、もうちょっとチープなのを飲みたいわね」とコメント。Aが高価だと既に決めている様子です。飲んでみると、「予想よりは悪くはないわ。Aと似ている味だけど、複雑さがないわね」と厳しめのコメントが。

グリーンさんはもちろんAを選択。

グリーンさんは値段を見る前にも、「もしAのほうが安かったら、ケースで購入するわよ! まあ、安くなくても、ケースで買っちゃうわね」とAの素晴らしさを絶賛していました。

気になる値段は、Aは750mlで104ドル(約1万1000円)、Bは35ドル(約3900円)。グリーンさんは見事に正解。

「素晴らしいアイリッシュ・ウイスキーを探しているなら、ポットスチルという製法で作られたウイスキーがオススメです」とのことでした。

今度はバーボン・ウイスキーにトライ。

グリーンさんは運ばれてきたバーボン・ウイスキーを見るやいなや、「Aのほうが濃い色ですね。ということは、Aのほうが熟成されているということになります」と即答します。

グリーンさんによると、バーボン・ウイスキーはアメリカの魂ともいうべきウイスキーとのこと。「バーボン・ウイスキーは原材料のトウモロコシの含有量が51%以上である必要がある」とグリーンさんは語ります。

まずは香りから。Aのバーボン・ウイスキーは「オレンジピールやシトラスなどの柑橘系の香りがまず感じられ、シダーウッドや松などの木材の香りや、パイナップルのようなトロピカルな香りもする複雑な香り」だそうです。

グリーンさんはBを嗅いだ瞬間、「Aとは全く違いますね」とコメント。Bは「バラやカーネーションなどの香りが感じられる」とグリーンさんは話します。

次は味のチェック。Aのバーボン・ウイスキーはグラスを口に近づけた段階からカラメルやバタースコッチの香りがするそうです。飲んでみるとオレンジの砂糖漬けのような味わいで、おそらく9年前後は熟成させてあるとグリーンさんは推測します。

一方、Bはあぶられたマシュマロのような味わいで、口の中に長く残り続ける風味があり、クラシックなバーボン・ウイスキーになっているとのこと。

今までの問題に比べて自信がなさそうな様子でしたが、グリーンさんはAのウイスキーが高額だと判断。

結果を見ると、Aのバーボン・ウイスキーは750mlで100ドル(約1万1000円)、Bは38ドル(4200円)と、またしても正解でした。

最後の問題には日本のウイスキーが登場しました。

グリーンさんは、「多くの人が驚くことなのですが、日本は100年近くもウイスキーを製造しています」と日本のウイスキーの紹介からスタート。

「日本のウイスキーが他と異なるのは、その製造へのこだわりです。日本では、良い結果が得られるまで、蒸留器や原料の扱い方など製造プロセスの継続的な改善を続けます。ある職人は『10年後も今の味と同じままだったら、それは失敗ということになります』と私に語ってくれました」

まずは見た目のチェックから。Aのウイスキーはかなり薄い色です。

香りは「すごく強い香りではないが、レモンの香りが特徴的」とのこと。日本のウイスキーメーカー、特にサントリー山崎蒸溜所のものは強いレモンの香りがするそうです。

一方、Bのウイスキーは濃いめの色。顔を近づける前から香りを感じるほど、香りが強いそうです。

Bの香りを嗅いだグリーンさんは「ラブリー」と感嘆の声をあげました。「ハチミツにほんのわずかなバニラや砂糖の香りがしますね。素晴らしい香りです」とのコメントです。

次は試飲タイムに移ります。Aのウイスキーは「飲みやすさが特徴のスコッチ・ウイスキーのような味わいで、熟年数が若く、香りは弱いもののクリーミーな舌触り」とのこと。日本のウイスキーの特徴は、口の中で味わいが2段階に変化するような複雑さで、Aのウイスキーにはそれが感じられるそうです。

Bを一口飲んだグリーンさんは、「素晴らしい」と笑い出してしまいました。「果樹園のような香りですが、飲み込んだ後に強烈なアルコールの主張を喉で感じます。長年タルで熟成したおかげか、木材のタンニンのような後味がしますね。私の大好きな複雑な味わいです」と高評価。

Bのほうが熟成年数が長いウイスキーで、それゆえ値段も高いと判断したグリーンさんはBを選びました。

結果は、Aが750mlあたり45ドル(約5000円)、Bが200ドル(約2万2000円)でした。「Bはかなり高級品でしたね」とグリーンさんもニッコリ。

「Bのウイスキーは世界のウイスキーと比較しても素晴らしくて、200ドルの価値は絶対にありますよ」とのことでした。

全ての問題に正解したグリーンさんは、「香りや口当たりや熟成年数などいろいろ語りましたが、あなたが『このウイスキーが大好きなんです』と思う気持ちに間違いなんてないんです」と締めくくっていました。

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