映画「犬ヶ島」に登場した約40秒の「寿司を握るシーン」を作り続けた32日間の様子を1分のムービーにまとめるとこうなる

ウェス・アンダーソン監督が制作したストップモーションアニメである「犬ヶ島」は、全ての犬がゴミ島「犬ヶ島」に隔離された近未来の日本で、主人公が愛犬を救いに島を訪れるというストーリー。映画には職人が「寿司」を作るシーンも登場しており、その「職人が寿司を握るシーン」をどのようにストップモーションアニメで制作したのか、定点カメラで観測したムービーがVimeoで公開されています。

Isle of Dogs - Sushi Making Scene Timelapse


まずは1人の男性がカメラの前に現れます。この男性が寿司を握るシーンの制作を担当するようで、画面の上部には真下を捉えるカメラが設置されているのがわかります。

男性が職人の腕や魚といった小物を用意して指をほぐします。

さっそくカメラの下に腕とまな板にのった魚をセッティング。

活きのいい魚がはねるシーンは、魚の下に板を置いてお腹を持ち上げることで表現しています。

職人の腕、ヒレの動きまでもを一つ一つ手作業で変化させ、膨大な写真を撮ってつなぎ合わせていきます。

時折斜め前の空間を見つめているのは、撮影した画像を確認している模様。実際に動画を見ると、超高速で動いていく男性と、通常のスピードで職人の腕が魚を扱っている様子を同時に見ることができ、かなりインパクトがあります。

ピチピチとはねる魚を表現するため、男性は真剣そのものです。

2日目に入ると、ようやく職人が魚を切り始めました。飛び散った血も1つ1つ表現しなければなりません。

魚の骨を抜くシーンも全て手作業です。

わずかに持ち上がった魚の身を表現するため、切り身の下に細い木を差し込んで高さを調節していることがわかります。

撮影を開始してから3日目になりますが、まだ魚を切っている状況。

男性が後ろを振り向いたと思ったら……

同僚の女性が様子を見に来た模様。

魚が半身になり……

4日目になるといよいよ寿司のネタに近づいてきます。

撮影した画像を確認したと思ったら……

顔に手を当てて悩み込む男性。コマ送りにするとこんなシーンまで確認できます。

連日、魚と職人の腕、包丁を動かし続ける男性。

ネタに味付けを行います。

6日目にしてようやく寿司が完成。

寿司を箱に移してお寿司は終了です。

次に登場したのはカニ。

活きのいいカニが逃げだそうとしますが……

職人の腕が捕まえます。

甲羅がパカリと開けられ……

箸で中身を取り出します。

その後も数日にわたりカニの解体が続きます。

撮影を開始してから12日目でカニの料理が完成。

続いて職人が海苔巻きを作り始めました。

時には疲れが限界に達したのか、机に突っ伏してダウンしているシーンが収められつつも……

寿司シーンの制作は続行。

「今のシーン、どうかな？」とでも言いたげに画面を確認する男性。

14日目にはイヤホンを装着し、集中力を高めて作業を行います。

時には仲間とのちょっとした打ち合わせシーンも収められています。

14日目にしてカニの足の海苔巻きが完成。

なんと15日目からはストップモーションの制作者が交代しました。今度はメガネをかけた体格のいい男性です。

新しい男性も着実に寿司シーンを進めていきます。

手の届かない場所は細い棒を使って微調整。

2本のおしぼりを置き……

現れたのはタコの足。

活きのいいタコの足がまだウネウネと動いているところも、タコ足をくねらせてしっかりと表現しています。

道具でタコ足を持ち上げています。

うねるタコ足と格闘する職人は……

木の棒で足をたたきます。

やがて包丁を取り出し……

スパッと切断。この時点でタコが登場してから3日が経過しています。

タコを薄くスライスして……

職人がシャリとネタを手にします。

軽快な手さばきで寿司を握り……

タコの寿司一貫が完成。

時々真剣な表情で男性が撮影した画像を見つめます。

職人に手を添えるようにして寿司を握り……

四貫できあがり。ちょうど完成した映像を見に来た女性がカメラに映りました。

制作開始からゴム手袋をはめるシーンまで到達するのに、実に1カ月以上も必要だったことがわかるタイムラプスムービーとなっていました。

ということで、32日かけて作られた寿司職人のシーンは以下のような感じ。ムービーは1分36秒という長さですが、そのうち職人の手が真上から捉えられるシーンは40秒ほどなので、このわずか40秒のために費やされた1カ月だったわけです。

[Isle of Dogs] Sushi Scene - YouTube