「ブレードランナー 2049」に出てきた廃棄物処理場や女性型ホログラムがどのように合成されたかわかるVFX分解ムービー

往年のSF映画「ブレードランナー」の正統続編として2017年に公開された「ブレードランナー 2049」は、前作でハリソン・フォードが演じた主人公デッカードが年を取った姿で登場し全体的な雰囲気も引き継いだ上に、ロサンゼルスの町並みをミニチュアで作るなど徹底的にこだわって制作されました。そんな作品のVFXはどのように作られたのかを、手がけたFramestoreがYouTubeで明らかにしています。
Blade Runner 2049 | VFX Breakdown | Framestore - YouTube

巨大な発電施設が並ぶ2049年のロサンゼルス。

郊外には畑が連なりますが、これは空撮映像から木をすべて取り除き、のぺっと無機質な印象に変えています。左が加工後、右が加工前。

ライアン・ゴズリング演じる捜査官Kが、逃亡レプリカントであるサッパー・モートンを訪ねる映画冒頭のシーン。車やビニールハウスはセットが作られ、背景は処理できるようにグリーンバックが立てられています。

車から降りてきたK。映画でも全体的に視界が悪いシーンでしたが、スモークは現場でも焚かれていました。

映画の中だとこんな感じ。

Kが木の根元を気にするシーン。建物が写り込んでしまう部分にグリーンのパネルを立てて撮影していますが、すべてが合成というわけではありません。

続いては、Kが家庭用AI・ジョイのホログラムとともに、かつて逃亡したレプリカント・レイチェルが生んだ子どものことを調べるシーン。端末をのぞき込むジョイ。

しかし、ジョイが少し後ろに下がるとKの顔が登場。

ジョイはKに重なるようにしてのぞき込んでいたのでした。

まず、端末の前にKを配置。

続いてはジョイ。

2人ともCGなら、重なり合うのは自由自在です。


ロサンゼルスの郊外には大量のゴミが廃棄された処理場が設けられています。実際には広大な処理場はないので、地形上に廃墟を配置し……

続いてはゴミの山を重ねます。

そこにゴミ輸送機がやってきて……

ブレードランナーらしく、画面に雨を降らせます。

雨が降る薄暗い処理場にゴミを投棄するシーンの完成。

Kとジョイが子どもの手がかりを探すシーンでは、この雨の中をホバーカーで飛んでいくのですが……

セットの車に向けてスタッフ2名が風を当てていました。

車内のジョイ。落雷を受けて調子が悪くなってしまうシーンはどうしているのかと思ったら……

デジタルダブルのジョイが登場。



2体目のデジタルダブルは、まるでモザイクがかかっているかのようにブロックノイズだらけ。

あちらを向いた3体目のデジタルダブル。

4体目は体が透けています。

そして、ジョイの処理の前に、車の窓から見える景色の処理が行われます。先ほどは外がグリーンバックでしたが、なにもない平原に。

そこにゴミがどさっと配置され……

雨が降ってきました。

ジョイを合わせると完成。顔のあたりにノイズが出てしまっていますが、これは画像の加工ミスではなく、こういう映像です。

Kが車から降り立ったシーン。車の周辺のゴミはホンモノです。

しかし、周りに撮影用クレーンなど不要なものが多いため、車の周辺だけを切り取ります。

ごちゃごちゃの鉄くずなどの山の真ん中に再配置。

加工前後での差はこんな感じ。

ゴミが山のように積み重なった部分は、本当にゴミを積み重ねているわけではなく、土手のような足場を組み、表面にゴミを配置しています。

さらにゴミを増量すれば完成。

つまり、Kがこの山を登ってくるシーンは、本当にゴミの中を歩いているわけです。

ムービーの後半では、廃墟となったラスベガスの様子も見られます。映画の中では砂埃の中のように、茶色く霞んだ街並みでしたが……

砂埃がかかる前の街並みが見られます。



このほか、BD/DVDが2018年3月2日に発売されるということで、特典映像として収録されるメイキングがYouTubeで公開されています。
『ブレードランナー2049』特典映像① - YouTube

ジョイを演じたアナ・デ・アルマスさんと、Kと死闘を繰り広げるラヴを演じたシルヴィア・フークスさんによるコメント入り予告編もあります。
映画『ブレードランナー 2049』アナ&シルヴィア コメント入りトレーラー/デジタル好評配信中 - YouTube

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