プロジェクター内蔵のスモールPC「GB-BXPi3-4010」を分解&映写してみた

超小型のPC内にプロジェクターを内蔵したというぶっ飛んだGIGABYTE製スモールPC「GB-BXPi3-4010」を借りることができたので、好奇心に任せて分解し中身を拝見しつつ、実際にプロジェクターで映像を出力してみました。
GIGABYTE - Desktop PC - Mini-PC Barebone - GB-BXPi3-4010 (rev. 1.0)
http://www.gigabyte.jp/products/product-page.aspx?pid=4779

◆外観チェック
GB-BXPi3-4010(以下、BXP)は、横10.8センチ×縦11.4センチ×高さ4.9センチの極小PCです。底面は他のBRIXシリーズと同じ大きさですが、少し背の高いモデルです。

まさに手のひらサイズ。

縦の長さはiPhone 5よりも短く……

iPhone 5の横幅よりも低い高さ。

重さは実測で450g。カバンで持ち運ぶのも苦にならないサイズ・重量と言えそう。

詳しく外観をチェックします。前面。左下にUSB3.0とヘッドホン/光音声出力端子、右上にはプロジェクターレンズ。

プロジェクターはWVGA(864×480)の表示が可能なDLPで輝度は75ルーメン、コントラスト比は1:900。

斜めから見ると、プロジェクター部分が少し膨らんでいることがよく分かります。

左側面にはフォーカスリングと1.5Wステレオスピーカー。BXPはプロジェクター単体から音声の出力が可能。

極小の筐体はただでさえ排熱が厳しそうですが、BXPはプロジェクター内蔵でさらに発熱するため、排気用のスリット奥には大きなヒートシンクが確認できます。

背面には入出力系統の端子がずらり。

左上からMini HDMI入力端子と排気用のスリット。

右上にはプロジェクターのON/OFFボタン。BXPはディスプレイに接続することで通常のPCとしても使えますが、このボタンを押すだけで簡単にプロジェクターから映像を出力できるという仕組みです。

下部分には、ACジャック、HDMI出力端子、Mini DisplayPort、LAN端子。

右端にはUSB3.0端子。BXPは、4つのUSB端子がすべてUSB3.0に対応しています。

右側面にはスピーカーと吸気スリット。スピーカーはドルビーデジタル対応。

BXPは、右側面上から吸気して、左側面下のスリットから排気するというエアフローになっています。

底面はこんな感じ。中央にはスタンドを装着するためのネジ穴が切ってあり、カメラの三脚に装着することもOK。四隅のネジを外せば底面パネルが取れ内部に侵入できるという構造。

◆分解
BXPがどんな構造になっているのかを拝見するべく分解していきます。ネジを外して……

底面のパネルを取り外すとこんな感じ。

GIGABYTEらしい青色のマザーボード。写真上にSSD、写真下にメモリが見えますがCPUは確認できません。

詳しく見ていきます。こちらはmSATA接続のSSD。ハーフサイズなので金属製のステーが取り付けられていますが、もちろん通常のサイズのSSDも装着可能。

SSDの下にはminiPCI-ExpressにWi-Fi+Bluetoothカードが装着済み。

SO-DIMM DDR3L(1.35V)規格のメモリを使用。貸出機にはCrucial製の4GBメモリが装着されていました。

メモリスロットは2本あり、最大8GB×2=16GBまで対応。

マザーボードを取り外す前にSSDを先に取り外します。SSDのネジを外すと……

SSDが跳ね上がるので取り外します。

これがmSATAタイプのSSD。128GBのモデルが装着されていました。メモリチップはNANYA製。

次に金属ステーを固定するネジを外します。

ステーを外すとSSDとWi-Fi/Bluetoothカードが出てきました。

慎重にアンテナケーブルを取り外します。

写真赤枠のファンコネクタを外して……


マザーボード上のネジを外せばボードが取り外せます。

マザーボードを取り外すと下からプロジェクター用のドーターボードが出てきました。

ドーターボードも青色。

写真の黒い部分がプロジェクターユニットで……

銅製のヒートシンクが装着されています。

マザーボードのファンコネクターを外し……

マザーボード(左)とドーターボード(右)を並べると、マザーボード上のシロッコファンがプロジェクターユニットの熱を排出する構造であることが分かります。

プロジェクター用のドーターボードは「CD2D19B」という型番。

「IT6535TE」というチップ。

最後にマザーボード裏側をチェック。どうやらCPUは裏側に装着されているようです。

ファンのネジを外すと……

CPUクーラーが見えてきました。

ネジを外せばCPUクーラーが取り外せ……

CPUのお目見えです。BXPは、Intel第4世代Coreシリーズ(Haswell)Core i3-4010U(1.7GHz)を搭載しています。

CPUクーラー裏側はこんな感じ。

ヒートシンクはプロジェクターユニットのものに比べると小さめ。ここからプロジェクターの発熱量が多いことが想像できます。

◆プロジェクターを動かしてみる
分解もほどほどに、BXPを起動させてみます。まずは、BXPに付属の三脚を装着します。

BXPの底に取り付けて足を曲げれば……

プロジェクターらしくなりました。

BXPは普通の小型PCとしても使用できますが、せっかくなのでプロジェクターをONにして使ってみました。なお、BXPはプロジェクターをONにした状態でも外部ディスプレイを装着すればクローンモードや拡張ディスプレイモードが利用可能です。

スクリーンではなく白い壁に映写しましたが、文字のにじみも少なく、十分プレゼンテーションで使えるレベルです。

GIGAZINEの記事を表示するとこんな感じ。画面解像度がWVGA(864×480)なので表示される情報は少なめ。しかし、パワーポイントなどのプレゼンテーションソフトならば十分実用可能な表示サイズと言えそうです。

◆音
BXPは出力1.5Wのステレオスピーカーを搭載しているので、PC単体でサウンドを出力できます。そこで、BXPのスピーカー性能を、YouTube動画を視聴して確かめてみました。

BRIX プロジェクターモデルのステレオスピーカーはなかなかの音質 - YouTube
スピーカーは予想以上に良い音質で、音量を上げても音が割れることもありません。会議室など一般的なミーティングスペースであればスピーカーを用意することなく音声付きのプレゼンテーションが行えるため非常に便利だと感じました。
ただし、BXP自体が出すファンの音はそこそこ大きめです。
BRIX プロジェクターモデルの動作音はこれくらい - YouTube
音量を測定すると、およそ55db。

もっとも、BXPのファンの音は一般的な小型プロジェクターと比べても大きいとは言えません。むしろ、小型プロジェクターよりも圧倒的に小さなサイズでこの音量に抑えているのは優秀だと思えるレベルです。
◆熱
BXPは超小型の筐体内にPCとプロジェクターを収めているため、どれくらい発熱するのかは気になるところ。そこで、30分間、YouTube動画を再生し続けてからサーモグラフィで熱分布を測定してみました。
前面部分はそれほど温度は高くないようです。

しかし、バックパネル部分はかなり高温で、60度近い温度です。今回の測定結果は室温20度の部屋での温度ですが、夏場はさらに温度が高くなりそうです。

◆スペック
CPU:第4世代Intel Core i3-4010U(1.7GHz)
メモリ:SO-DIMM DDR3L(1.35V)・最大16GB
LAN:Gigabit LAN(Realtek RTL8111G)
オーディオ:Realtek ALC269
グラフィック:Intel HD 4400 graphics
出力:HDMI(最大4096×2304 24Hz)、Mini DisplayPort(最大3200×2000 60Hz)
プロジェクター:DLP(864×480)、1.5Vスピーカー、mini HDMI入力
拡張スロット:mSATA×1、mini-PCIe(ただしWiFi+Bluetoothカードで使用済み)
I/O:HDMI、Mini DisplayPort、USB3.0×4
サイズ:縦11.44センチ×横10.76センチ×高さ4.89センチ
◆総括
GB-BXPi3-4010は、手のひらサイズでカバンに入れてどこでも持ち運べるサイズのPCにプロジェクターを内蔵した非常に個性的なPCです。プロジェクターは解像度はそれほど高くないものの、プレゼンテーションで使う分には十分実用的な描写能力なので、ちょっとしたミーティングで手軽に映写できるのは便利そうです。
また、Haswell Core i3プロセッサを搭載しており、メモリも最大16GB、mSATAのSSDを搭載できるのでPCのスペック的には決して劣っておらず、グラフィックもIntel HD 4400 graphicsなので、プロジェクター抜きで考えても普段使いには申し分ない性能です。
ユニークな超小型プロジェクター内蔵PCのGB-BXPi3-4010は、メモリ・SSDなしのベアボーン状態で市場想定価格8万円となっています。
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